水葬

葬儀の形式は様々ある

葬儀というと、通夜や葬式、告別式を行い、その後火葬するという形式を思い浮かべる方がほとんどでしょう。
日本においてはこのような葬儀が一般的だからです。
近年では家族や近い親族だけで葬儀を行う家族葬や火葬のみを行う火葬式という葬儀形式も登場してきましたが、基本的な流れは同じです。

もちろん、海外においては事情が異なります。
キリスト教、イスラム教など、宗教によって葬儀方法に違いがありますし、同じ宗教であっても国や民族といった要因から差が生じることもしばしばです。
日本でも神式という神道形式の葬儀が行われているほか、キリスト教式、そして無宗教式といった葬儀が行われることもあります。

海や川に還す

現在では見られないものの、かつては日本で行われていたという葬儀形式もあります。
そのひとつが水葬です。
水葬は遺体および遺骨、遺灰などを海や川などに沈め、葬る方法です。
海外では認められていることも多く、特にインドやアメリカ先住民などでは習慣として根付いています。

日本でも昔は水葬の習慣があり、様々な文献にもそれを裏付ける記述が見られます。
しかし、現代の日本においては水葬は認められていません。
これを行った場合、刑法190条の死体遺棄罪に該当し、3年以下の懲役となります。
水葬により、水質汚染や感染症の蔓延が生じることを防ぐことがその理由です。

ただし、例外はあります。
船で働く人々は長い期間を船上で過ごすことになりますが、ときには船員が上陸する前に亡くなるケースも出てくるでしょう。
この場合、遺体を放置しておくと衛生上の問題が生じる恐れがあります。
そのため、船員法では例外的に水葬を認めており、船長の監督の下で行われます。 

ただ、その実行に当たってはいくつかの条件を満たす必要があります。
その条件とは、死亡後24時間が経過していること、衛生上遺体を船内で保管することができないこと、医師が同乗している場合は死亡診断書を作成することなどです。
ちなみに、伝染病で亡くなったときには死後24時間を待たずとも行うことが可能ですが、その際は消毒を入念に行う必要があります。
また、水葬の際は遺族のために遺体の写真を撮影し、遺髪や遺品などをきちんと保管したうえで、儀礼を尽くして行うことも船長には課されています。

同様に、自衛隊においても状況に応じて水葬が認められています。
条件についても一般の船員と基本的には同じであるものの、一部が異なっています。
例えば、自衛隊の船舶では医師が常駐していることから、水葬を行う際は死亡診断書あるいは死体検案書を必ず作成しなくてはなりません。
感染症で死亡した場合の処置もより厳しいものとなっており、感染症法とそれに基づく規定によって消毒する必要があります。