音楽葬

多様化する葬儀

以前は社会的、あるいは儀礼的な側面の強かった葬儀ですが、最近では変化も見られます。
故人や遺族の意思を尊重した葬儀が増えてきているのです。
かつては、決まりきった内容の葬儀が行われることがほとんどで、そこから逸脱すると非常識という非難を受けることにもなりかねないという状況でした。
確かに、あまりにも不誠実だったり、非常識だったりすればこうした批判を受けるのも仕方がないでしょう。

しかし人が亡くなった際、最も辛いのはその家族のはずです。
子どもでも少なくとも20年程は親と一緒に暮らすことが一般的ですし、相手がパートナーともなれば50年以上共に暮らしているという場合も多いでしょう。
したがって、遺族が心の負担を軽減するために儀礼的な葬儀を回避したとしてもやむを得ないのではないでしょうか。
また、葬儀では100万円を超えるような費用がかかることも多いので、金銭的な面から他の形式の葬儀を行わざるを得ないというケースもあります。

もちろん、故人の意思を尊重することも重要です。
死後のこととはいえ、どのような葬式を行ってほしいかといったことはその人の自己決定権に関わる問題でもあります。
故に、その意思を尊重して葬儀を行うことも遺族には求められるのです。

音楽葬の特徴と注意点

このように、現代では従来の形式ばった葬儀を好まない方が増えています。
そのため、無宗教葬あるいは自由葬と呼ばれる形式の葬儀も多くなりました。
そのひとつとして、近年注目されているのが音楽葬とよばれるお見送りの方法です。

音楽葬はその名の通り、故人の好きだった音楽や思い出の曲等をBGMとして流す葬儀のことです。
ある時期に良く聞いていた曲を耳にしたとき、当時の記憶がよみがえってきたという経験を持つ方は多いと思いますが、このことは葬儀についても同様です。
故人にまつわる曲を聞けば生前の姿が思い出され、しっかりと見送りたいとの思いを改めて抱くはずです。
また、音楽葬を行うことによって、この時の経験も音楽と共に記憶に刻まれることとなります。

一般葬ではCDやテープが使われることも多い一方、バンドなどの生演奏が披露されることもあります。
特に、生前にバンドとして活動していた方の音楽葬では、他のメンバーによる演奏が行われる場合もあります。
一方、団体葬ともなると合唱団や楽団が呼ばれることもあり、迫力のある音楽を聞きながら故人に思いを馳せることができるでしょう。

音楽についての制約はないため、ロックからクラシック、演歌に至るまで何でも流すことができます。
音楽葬は無宗教葬として行われることも多いものの、仏式や他の宗教の葬儀でも可能な場合もあるので、興味のある方は葬儀社に相談すると良いでしょう。

ただし、こうした葬儀が参列者全員から歓迎されるとは限りません。
一般的な葬儀を行うべきだという方も依然として多くいます。
このような方々から同意を得るのは難しいことですから、音楽葬を検討している方は注意が必要です。